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大阪地方裁判所 平成10年(わ)774号

主文

被告人富士林業株式会社を罰金八〇〇万円に、被告人富士工務店株式会社を罰金四〇〇〇万円に、被告人平山実を懲役二年及び罰金一五〇〇万円に処する。

被告人平山実がその罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

被告人平山実に対し、この裁判確定の日から三年間、その懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人富士林業株式会社(以下「被告会社富士林業」という。)は、大阪府守口市八雲東町二丁目一番八号に本店を置き、建売住宅の建築販売業を営む資本金四〇〇〇万円の株式会社、被告人富士工務店株式会社(以下「被告会社富士工務店」という。)は、同市八雲東町二丁目一番七号に本店を置き、一般住宅建築業を営む資本金四〇〇〇万円の株式会社、被告人平山実(以下、単に「被告人」という。)は、被告会社富士林業の代表取締役として、かつ、被告会社富士工務店の実質的経営者として(平成九年七月一日同社の代表取締役に就任。)、それぞれその業務全般を統括するとともに、同所において、「富士工務店」の名称で不動産業を営むものであるが、被告人は、

第一  被告会社富士林業の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一  平成五年七月一日から平成六年六月三〇日までの事業年度における同被告会社の実際の所得金額が六二三三万七六二一円(別紙1の修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が二二三七万七〇〇〇円(別紙10の税額計算書参照)であるにもかかわらず、売上の一部を除外するなどしてその所得の一部を秘匿した上、平成六年八月二九日、大阪府門真市殿島町八番一二号所在の所轄門真税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が三四八五万三二五七円で、これに対する法人税額が一二〇七万〇五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一〇三〇万六五〇〇円(右税額計算書参照)を免れ、

二  平成六年七月一日から平成七年六月三〇日までの事業年度における同被告会社の実際の所得金額が六一〇二万四一一七円(別紙2の修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が二一九五万三四〇〇円(別紙11の税額計算書参照)であるにもかかわらず、前同様にしてその所得の一部を秘匿した上、平成七年八月二八日、前記所轄門真税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が三八一五万〇六五三円で、これに対する法人税額が一三三七万五七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税八五七万七七〇〇円(右税額計算書参照)を免れ、

三  平成七年七月一日から平成八年六月三〇日までの事業年度における同被告会社の実際の所得金額が九一六八万三二四二円(別紙3の修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が三三五三万三六〇〇円(別紙12の税額計算書参照)であるにもかかわらず、前同様にしてその所得の一部を秘匿した上、平成八年八月二九日、前記所轄門真税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が四五八一万九八三五円で、これに対する法人税額が一六三三万四六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一七一九万九〇〇〇円(右税額計算書参照)を免れ、

第二  被告会社富士工務店の業務に関し、法人税を免れようと企て、

一  平成六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同被告会社の実際の所得金額が一億〇一四五万一二九八円(別紙4の修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が三七二七万七三〇〇円(別紙13の税額計算書参照)であるにもかかわらず、前同様にしてその所得の一部を秘匿した上、平成七年二月二七日、前記所轄門真税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が一二四八万二一一三円で、これに対する法人税額が三七五万四三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税三三五二万三〇〇〇円(右税額計算書参照)を免れ、

二  平成七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同被告会社の実際の所得金額が一億〇五四七万六五〇四円(別紙5の修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が三八七七万六七〇〇円(別紙14の税額計算書参照)であるにもかかわらず、前同様にしてその所得の一部を秘匿した上、平成八年二月二九日、前記所轄門真税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が一五五七万六八五二円で、これに対する法人税額が五〇六万四二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税三三七一万二五〇〇円(右税額計算書参照)を免れ、

三  平成八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同被告会社の実際の所得金額が二億五四〇三万八六七九円(別紙6の修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が九四四七万九五〇〇円(別紙15の税額計算書参照)であるにもかかわらず、前同様にしてその所得の一部を秘匿した上、平成九年二月二六日、前記所轄門真税務署において、同署署長に対し、右事業年度の所得金額が一五六七万一六〇〇円で、これに対する法人税額が五〇九万一九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税八九三八万七六〇〇円(右税額計算書参照)を免れ、

第三自己の所得税を免れようと企て、

一  平成六年分の実際の総所得金額が九〇八四万五九七五円(別紙7の修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が三二〇二万二九〇〇円(別紙16の税額計算書参照)であるにもかかわらず、事業所得を申告しないなどの方法によりその所得の一部を秘匿した上、平成七年三月一四日、前記所轄門真税務署において、同署署長に対し、同年分の総所得金額が二五八四万〇〇七〇円で、これに対する所得税額が源泉徴収税を控除すると一万〇四二八円の還付を受けることになる旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の所得税三二〇三万三三〇〇円(右税額計算書参照)を免れ、

二  平成七年分の実際の総所得金額が七五〇四万六四二八円(別紙8の修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が二二九四万四二〇〇円(別紙17の税額計算書参照)であるにもかかわらず、前同様にしてその所得の一部を秘匿した上、平成八年三月一二日、前記所轄門真税務署において、同署署長に対し、同年分の総所得金額が二九九五万四五七六円で、これに対する所得税額が六九万〇三〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の所得税二二二五万三九〇〇円(右税額計算書参照)を免れ、

三  平成八年分の実際の総所得金額が六六六二万四〇七七円(別紙9の修正損益計算書参照)で、これに対する所得税額が一六一五万五三〇〇円(別紙18の税額計算書参照)であるにもかかわらず、前同様にしてその所得の一部を秘匿した上、平成九年三月五日、前記所轄門真税務署において、同署署長に対し、同年分の総所得金額が三七三〇万七三六四円で、これに対する所得税額が一四九万六八〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の所得税一四六五万八五〇〇円(右税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)(括弧内の甲乙の数字は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)

全部の事実について

一  被告人の公判供述

一  被告人の検察官調書(乙一)

一  岸由香及び平山裕詞の各検察官調書(甲七三、七四)

一  商業登記簿謄本二通(甲七五、七六)

第一の一ないし三の事実について

一  査察官調査書四通(甲二二~二五)

一  「所轄税務署の所在地について」と題する書面(甲七)

第一の一の事実について

一  証明書(甲四)

第一の二の事実について

一  証明書(甲五)

第一の三の事実について

一  証明書(甲六)

第二の一ないし三の事実について

一  査察官調査書六通(甲二六~三一)

一  「所轄税務署の所在地について」と題する書面(甲一四)

第二の一の事実について

一  証明書(甲一一)

第二の二の事実について

一  証明書(甲一二)

第二の三の事実について

一  証明書(甲一三)

第三の一ないし三の事実について

一  査察官調査書四一通(甲三二~七二)

一  「所轄税務署の所在地について」と題する書面(甲七)

第三の一の事実について

一  証明書(甲一八)

第三の二の事実について

一  証明書(甲一九)

第三の三の事実について

一  証明書(甲二〇)

(法令の適用)

罰条 被告人

第一の一ないし三及び第二の一ないし三の各行為

いずれも平成一〇年法律第二四号による改正前の法人税法一五九条一項

第三の一ないし三の各行為

いずれも右改正前の所得税法二三八条一項

被告会社富士林業及び同富士工務店につき

いずれも前記法人税法一六四条一項、一五九条一項、被告会社富士工務店につきさらに同条二項

刑種の選択 被告人の第一の一ないし三及び第二の一ないし三の各罪につきいずれも懲役刑、第三の一ないし三の各罪につきいずれも懲役及び罰金の併科刑をそれぞれ選択

併合罪の処理 被告会社富士林業及び富士工務店

刑法四五条前段、四八条二項

被告人

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第二の三の罪の刑に法定の加重)、罰金刑につき同法四八条二項

労役場留置 刑法一八条

執行猶予 刑法二五条一項

(量刑の理由)

本件は、被告会社二社を経営するとともに個人でも「富士工務店」の名称で不動産仲介業を営み、建売住宅の建築販売等の事業を行っていた被告人が、右被告会社二社にかかる法人税や自己の所得税をほ脱したという事案である。

右各犯行によるほ脱金額は総額で約二億六〇〇〇万円に達しており、いわゆるほ脱率も、年度によっては九〇パーセントを超えているのであって、その結果は重大であるし、脱税の手段方法も、営業担当者に指示して実際の売買代金よりも低い金額を記載した内容虚偽の契約書や領収証を作成させて売上除外をするなど、極めて悪質巧妙である。そして、被告人は、いわゆるワンマン経営者として前記事業全体を統括し、本件各脱税行為を計画、実行したものであって、その刑事責任は重いというほかない。しかしながら、他方において、被告人らは、本件各犯行の発覚後、修正申告を行い、本税及び重加算税等の全額を支払ったこと、被告人にはこれまで前科前歴がなく、事実関係を素直に認め、反省の態度を示していることなどの事情も認められるので、これらの情状を総合考慮した結果、各被告会社及び被告人に主文の刑を科するとともに、被告人の懲役刑の執行を猶予するのが相当と判断した次第である。

(検察官花﨑政之、私選弁護人藤村輝子各出席。求刑・被告会社富士林業に対し罰金一〇〇〇万円、同富士工務店に対し罰金五〇〇〇万円、被告人に対し懲役二年及び罰金二〇〇〇万円)

(裁判官 畑山靖)

別紙1

修正損益計算書(富士林業株式会社)

自 平成5年7月1日

至 平成6年6月30日

<省略>

別紙2

修正損益計算書(富士林業株式会社)

自 平成6年7月1日

至 平成7年6月30日

<省略>

別紙3

修正損益計算書(富士林業株式会社)

自 平成7年7月1日

至 平成8年6月30日

<省略>

別紙4

修正損益計算書(富士工務店株式会社)

自 平成6年1月1日

至 平成6年12月31日

<省略>

別紙5

修正損益計算書(富士工務店株式会社)

自 平成7年1月1日

至 平成7年12月31日

<省略>

別紙6

修正損益計算書(富士工務店株式会社)

自 平成8年1月1日

至 平成8年12月31日

<省略>

別紙7

修正損益計算書(平山実)

自 平成6年1月1日

至 平成6年12月31日

<省略>

別紙8

修正損益計算書(平山実)

自 平成7年1月1日

至 平成7年12月31日

<省略>

別紙9

修正損益計算書(平山実)

自 平成8年1月1日

至 平成8年12月31日

<省略>

別紙10

税額計算書

自 平成5年7月1日

至 平成6年6月30日

(法人名)

富士林業株式会社

<省略>

別紙11

税額計算書

自 平成6年7月1日

至 平成7年6月30日

(法人名)

富士林業株式会社

<省略>

別紙12

税額計算書

自 平成7年7月1日

至 平成8年6月30日

(法人名)

富士林業株式会社

<省略>

別紙13

税額計算書

自 平成6年1月1日

至 平成6年12月31日

(法人名)

富士工務店株式会社

<省略>

別紙14

税額計算書

自 平成7年1月1日

至 平成7年12月31日

(法人名)

富士工務店株式会社

<省略>

別紙15

税額計算書

自 平成8年1月1日

至 平成8年12月31日

(法人名)

富士工務店株式会社

<省略>

別紙16

税額計算書

自 平成6年1月1日

至 平成6年12月31日

平山実

<省略>

別紙17

税額計算書

自 平成7年1月1日

至 平成7年12月31日

平山実

<省略>

別紙18

税額計算書

自 平成8年1月1日

至 平成8年12月31日

平山実

<省略>

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